名古屋はかつて、海外へ輸出される陶磁器生産の一大拠点でした。特に現在の名古屋市東区には、産地である瀬戸などに近いという好立地から、多くの陶磁器工場が立ち並んでいました。各産地から運び込まれた陶磁器に絵付けを施す、上絵付作業が発達する中で、“名古屋絵付” と呼ばれる豪華で華やかな作風は、海外でも人気を博しました。
公益財団法人横山美術館は、明治・大正時代に制作された輸出陶磁器の“里帰り品” を中心に展示しています。名古屋周辺で制作された輸出陶磁器をはじめ、日本初の洋風陶磁器であるオールドノリタケや、まとまった作品群を目にする機会の少ない隅田焼のほか、有田焼、京焼、瀬戸焼、九谷焼、萬古焼など、息をのむほど緻密で大胆な作品の数々を、ぜひご覧ください。
本書では、3000点余りの所蔵品から厳選した300点を収録しました。美術館紹介、銘一覧も掲載しています。
*A4変形、144ページ
*2017年刊行