瀬戸の三代加藤善治が焼き上げた薄く歪みのない板状の磁器は、明治28年(1895)の内国勧業博覧会で絶賛されました。陶板には主に東京や横浜などで精緻な日本画が上絵付けされ、海外へ輸出されました。陶板に焼き付けられた絵画は、退色しにくいうえに絵具の剥落が少なく、紙本や絹本とは異なり素地の変質も生じにくいことから、長年にわたって鑑賞できます。その反面、窯の中で色合いが変わる絵具を思い通りに焼き付けるには、経験に培われた高い技術が不可欠でした。
明治から昭和時代にかけてつくられた、往時と変わらぬ美しさの陶板90点を紹介。銘一覧も掲載しています。
*A4変形、32ページ